海外の虫歯ケア事情
スウェーデン式歯磨きはゆすがない「イエテボリテクニック」が常識?
それでは、海外の虫歯ケア事情を見るべく、虫歯の予防大国であるスウェーデンの虫歯事情をご紹介します。
まず、生涯の虫歯にかかった平均本数ですが、日本の9.5本に対して、スウェーデンは3.6本と約1/3と圧倒的に少ないのです。また、歯周病にかかっている人の割合も、日本が80%に対して、スウェーデンは20%と1/4です。
そして、歯科医の受診率は、日本が国民の10%未満であるのに対して、スウェーデンは子供で100%、大人でも80%以上という結果です。
スウェーデンで推奨されている独特の歯磨き方法があるというのです。そのスウェーデン式歯磨きは「イエテボリテクニック」と呼ばれていて、歯磨き後に虫歯予防に効果のあるフッ素をより多く口内に留まらせる為に考案された歯磨きの方法なのです。
このイエテボリテクニックの最大の特徴は、歯磨き後に”ゆすがないこと”です。スウェーデン式歯磨きはゆすがないので、通常の歯磨きと比較してフッ素が口内に残りやすく、高い虫歯予防効果が期待できるのです。
スウェーデン式歯磨きのイエテボリテクニックでは、次の3つの効果で、高い虫歯予防効果が期待できます。
- 虫歯菌の活動を抑制すること。
- 歯の再石灰化を促進すること。
- 歯質を強化できること。
歯磨きをしても虫歯になってしまうと悩んでいる人は、このイエテボリテクニックを試してみてもいいかも知れません。簡単な方法ですので、次の4つのポイントを押さえて正しく効果的に行ってみましょう。
- フッ素配合の歯磨き粉をブラシの端から端まで乗せてたっぷりと使用する。
- 歯に満遍なく歯磨き粉を行き渡らせてから、ブラッシングを行う。
- 歯磨き後は口内の泡を吐き出すだけ。
- 歯磨き後120分程度は飲食を控える。
フッ素禁止のスウェーデンの歯磨きの回数がありえない?
イエテボリテクニックが定着しているスウェーデンでは、歯磨きの回数にも日本との違いが見られました。日本の1日の平均歯磨き回数は2.4回。一方のスウェーデンでは1日あたり0.9回なんです。
平均の歯磨きの回数が0.9回ということは、1日1回にも満たない日がるということです。それでいて、日本より虫歯が少ないとなれば、やはりこのイエテボリテクニックは充分に効果の高い歯磨き方法だということが分かります。
ただし、気をつけなければいけない点は、イエテボリテクニックの推奨年齢が12歳以上だという点です。諸外国ではフッ素禁止という国が多く、ある意味一定の年齢に達していない子供にこの方法を行うことはリスクがあるということになります。
それもそのはずで、日本の歯磨き粉のフッ素の配合濃度は上限が1,500ppmに対して、スウェーデンでは5,000ppmなのです。フッ素の配合割合が日本の3倍以上となれば、スウェーデンでの虫歯予防は高い効果がある一方で、子供にはリスクがある方法だということが分かります。
歯磨きをしない国はあるのか?虫歯事情とは?
マリ共和国の歯磨き事情
マリ共和国では、歯ブラシはあるものの、「ゲセ」と呼ばれる歯磨き用の木があるのだと言います。このゲセで歯磨きをするのは伝統文化というわけではなく、日常生活に浸透している習慣だということです。
マリ共和国は、イスラム教徒の多い国であることが知られています。イスラム教の元では、ラマダンと呼ばれる習慣があり、太陽が出ている間は飲食を断つのです。これが1ヶ月に渡って続くので、この期間に歯で何かを噛むことで空腹感を紛らわす工夫が、ゲセで歯磨きをする習慣として根付いたようなのです。
とてもおもしろいマリ共和国の歯磨き事情ですよね。
インドの歯磨き事情
インドでは貧富の差が大きく、これがインドの歯磨き事情にも影響を与えているようです。
貧しい家庭では歯ブラシを飼うことができず、ミントの木の葉を噛んで歯磨きをしているようです。
一方、インドの富裕層の間では、ホワイトニングや歯の矯正に高い関心があるようです。富裕層の間では、歯磨きは歯ブラシを使用して、それにプラスしてオーラルケアが流行しているのです。まるで、スポーツジムを楽しむような感覚で、オーラルケアで豊かなライフスタイルを楽しんでいるようです。
虫歯菌を完全除去することは可能なのか?
歯磨きをしてるのに虫歯になるのはなぜ?と悩んでいる人であれば、虫歯菌を完全除去することができれば虫歯にならないと考えるでしょう。そこで虫歯菌を完全除去することができるのかどうかについて調べてみました。
結論からすると、一度虫歯菌に感染してしまうと、口内から虫歯菌を完全に除去することは難しいようです。歯科医でどのような処置をしても、どのような薬を使用しても、完全除去とまでは至らないのが実情です。
ただし、この虫歯菌の数を減らすこと、活性を抑えることは可能だということで、この方法を試すことの方が現実的です。
虫歯菌の弱点は、この2つです。
- キシリトールガムを噛む。
- フッ素配合の歯磨き粉と洗口液を使う。
虫歯菌の最大の弱点は、キシリトールだと言われています。このキシリトールの効果を活かす方法は、”キシリトール配合のガムを噛むこと”です。キシリトール配合のガムを1日数回に分けて噛むことで、口内の虫歯菌を減らす効果が期待できると考えられています。
この方法は最低6ヶ月以上噛み続けることで、虫歯菌の減少を実感できるようです。また、キシリトールの摂取を止めてしまうと、虫歯菌の数は元に戻ってしまいます。
虫歯菌の2番目の弱点はフッ素だと言われています。これは、歯磨きや洗口液に含まれていますので、配合割合などを参考にして選ぶといいでしょう。
虫歯にならない食生活
歯を強くする食べ物はあるのか?
健康な歯を保ち、歯を強くする食ベ物をご紹介します。
歯の健康や歯を強くする食べ物に含まれる栄養素として必要なのは、「カルシウム」、「タンパク質」、「ビタミンA」、「ビタミンC」、「ビタミンD」が挙げられます。これらの栄養素が含まれている食品を積極的に摂取することで歯を強くしてくれるのです。
カルシウムは、歯の表面にある硬質なエナメル質の形成に必要な栄養素です。タンパク質は、歯の表面のエナメル質の内側にある歯の象牙質の形成に必要な栄養素です。ビタミンA、ビタミンC、ビタミンDは、これらのエナメル質や象牙質を健康で良質なものにするのに必要な栄養素です。
カルシウムを含む歯を強くする食べ物
- ヨーグルト
- チーズ
- 高野豆腐
- ひじき
- 小魚
- キャベツ
タンパク質を含む歯を強くする食べ物
- 肉
- 魚介類
- 大豆
- 卵
- 牛乳
ビタミンAを含む歯を強くする食べ物
- かぼちゃ
- ほうれんそう
- レバー
- 人参
- うなぎ
- わかめ
ビタミンCを含む歯を強くする食べ物
- 焼き海苔
- 小松菜
- じゃがいも
- ピーマン
- ブロッコリー
- みかん
ビタミンDを含む歯を強くする食べ物
- 干し椎茸
- しめじ
- さんま
- 鮭
ここで挙げた以外にも、歯の健康に欠かすことのできない唾液の分泌量を増やす食べ物として、梅干し、果物、海藻などが効果的です。
また、歯を表面をきれいにする食物繊維が豊富に含まれている食べ物として、ごぼう、アスパラガス、セロリ、穀物類、豆類が効果的とされています。
虫歯になりやすい食べ物、お菓子ランキング
虫歯になりやすい食べ物、お菓子のランキングをご紹介します。
これはアメリカの歯科の研究者であるBibby氏が考案した「潜在脱灰能」という考え方を元にして、ポイントの高いものこそ、”虫歯になりやすい食べ物、お菓子”と言えるのです。ちなみに、ポイントの算出根拠は、食物停滞量と呼ばれるどれだけ食べ物が口内に停滞するかという指標と、酸酸性能と呼ばれる糖がどれだけ歯を溶かす酸を放出するかという指標を掛け合わせたものです。
それでは、「虫歯になりやすい食べ物、お菓子のランキング」です。
第1位:キャラメル、ドロップ
(ほとんどが糖分でできていて、歯にくっ付きやすく取れにくい)
第2位:菓子パン
(糖分が多く、ポロポロ食感で歯と歯の間に残りやすい)
第3位:チョコレート
(糖分が多く、歯に残りやすい上に、摂取が習慣化しやすい)
どうですか?予想通りでしたか?
これらの食べ物を摂取した後は、早めに歯磨きをした方がよさそうですね。
虫歯になりにくい食べ物、お菓子ランキング
虫歯になりやすい食べ物、お菓子があれば、その反対に虫歯になりにくい食べ物、お菓子があるものなのです。
第1位:せんべい、クラッカー
(甘味が少なく、噛み応えがあるので歯やあごの強化に役に立つ)
第2位:プリン、ゼリー、ヨーグルト
(粘りやベタツキが少なく、口に残りにくい)
第3位:ドライフルーツ、ラクトアイス
(歯応えが軽くて飲みやすいので口内での停滞度は低い)
この他にも、虫歯になりにくい食べ物としては、カルシウムが含まれているチーズ、小魚など、フッ素が含まれているわかめ、緑茶、紅茶などがおススメです。
これらの食べ物の摂取頻度を上げることとと歯のケアを強化することで虫歯になりにくい口内環境を整えていきましょう。
歯磨きをしなくていい食べ物はある?歯磨き後に食べてもいいものは?
基本的に、食べ物を咀嚼すれば、必ず口内に食べ物(食べカス)が残ります。これが虫歯の原因となるものでしした。そうは言っても、歯磨きをしなくてもいい食べ物があれば便利ですし、空腹を感じたなどで歯磨き後に食べてもいいものがあれば知りたいですよね。
間食に最適なのは、「アーモンド」
虫歯になりにくいとされる食べ物には、ナッツ類も挙げられます。このナッツ類の中でも、おススメなのは「アーモンド」です。
アーモンドは、糖分が少なく、食物繊維が豊富に含まれています。まさに、虫歯になりにくいとされる食べ物です。
また、アーモンドにはエネルギーの素とされる脂質、カルシウム、マグネシウムなどご豊富に含まれていて、栄養補給の食べ物としても最適です。スタイルを気にする芸能人やモデルさんたちの間食のアイテムとして、よくメディアなどで紹介されていますね。
虫歯予防にも、栄養補給や空腹感を満たす間食にも、おススメの一品です。
チーズで虫歯が治る?虫歯を治す食べ物はあるのか?
虫歯を治す食べ物があれば、こんなにいい話はありませんよね。実際に、虫歯を治す食べ物はあるのでしょうか?
そんな夢の食べ物は何なのか?ということで調べましたが、なかなかそのような夢の食べ物は見つかりませんでした。
ところが、最新の研究で、何やら虫歯の予防ができるという食べ物があるという話を見つけました。しかも、WHO(世界保健機構)も認めているとか・・・。
その食べ物は何かというと、「チーズ」だと言うのです。このチーズを食後に食べると虫歯の予防と虫歯の回復を助ける働きがあるのです。これは、チーズに含まれるカルシウムやリン酸などのミネラル分が唾液に溶け出すことで、エナメル質が溶けるのを防ぎ、初期虫歯を修復する再石灰化の働きを促すことが分かったのです。ヨーグルトや牛乳ではこの働きは無いそうで、チーズ特有の働きによるものなのだそうです。更に、乳製品の主成分であるカゼインが虫歯菌が歯に付着するのを抑制する働きも報告されているそうです。
チーズの食べ方は簡単で、食後に小さなチーズを良く噛んで食べるだけです。これでチーズの成分が唾液に溶け出し、虫歯予防に効果を発揮します。もちろん、チーズを食べてしばらく経ったら、しっかりと歯磨きをしましょう。
あくまでも、チーズは虫歯にならない食べ物ではありません。チーズで虫歯が治るならうれしいのですが、やはり虫歯予防には歯磨きが欠かせませんので注意が必要です。
初期虫歯の黒い点を歯医者に行かずに自力で治す方法はあるのか?
これまで虫歯のできる理由や、虫歯予防に効果的な方法を見てきました。
歯に穴が開いてしまった虫歯は歯医者で治療をする必要がありますが、歯に穴が開く前の初期虫歯の黒い点を歯医者に行かずに自力で治す方法はあるのでしょうか?
痛みも感じず、歯の定期検診などで見つかることが多いと思いますが、歯の表面についている黒い点程度の初期虫歯であれば、歯の再石灰化というメカニズムで、自力で治すことができるかも知れません。
歯科医に話を聞くと、この初期虫歯に効果的なのは、次の3つだということです。
- フッ素配合の歯磨き粉でしっかりとブラッシングをする。
- キシリトール入りのガムを噛む。
- うがいを重曹うがいに切り替える。
虫歯予防の方法と同様の方法にはなりますが、まずはフッ素入りの歯磨きでしっかりとブラッシングをすることが大切とのことです。その上で、虫歯菌の働きを抑えるキシリトール入りのガムを噛み、口内の環境を整えて歯の再石灰化を促す重曹うがいを取り入れるといいとのことです。
初期虫歯の黒い点を歯医者に行かずに自力で治す方法とは言えませんが、少なくとも虫歯の進行を抑えることができるそうです。
【虫歯のできる理由】まとめ
いかがでしたか?
虫歯のできる理由は、歯の表面についた歯垢に棲みついた虫歯菌が、口内に残る食べ物に含まれる糖を栄養分にして酸を出すことによって歯を溶かしてしまうから!でした。
歯磨きをしてるのに虫歯になるのは、理由があったのですね。この記事を活用して、虫歯になりにくい口内環境を整えていきましょう。