大人が学ぶ!「王様の耳はロバの耳」のあらすじと教訓を解説します

イソップ寓話「王様の耳はロバの耳」とは?

 イソップ寓話のひとつで、ギリシャ神話に登場するフリギア国王ミダスの物語です。この物語は、結末がいろいろと変化することで知られており、その結末によって学ぶ教訓も変化します。❝どう読むか?❞は、読み手であるあなた次第のようですね。

 ところで、「王様の耳はロバの耳」という話は知っているのに、「何故、王様の耳がロバのようになってしまったのか?」ということを知っている人は少ないと思います。つい先日、ふとしたことで長年のこの謎が解けたので紹介します!

 あるとき、ギリシャのミダス王は、半身半獣のパーン神の奏でる笛の音をとても気に入り、褒め称えたました。これで有頂天になったパーン神が、思わず「私の笛の音は太陽神アポロンの奏でる竪琴の音より素晴らしいんだ」と口にしてしまったのです。

 それを聞いて腹を立てたアポロンが天から降りてきて、山の神々を審査員に立てて、パーン神と演奏の腕比べをすることになったのです。山の神々は、アポロンの憂いのある竪琴の音色を「心が洗われるようだ」と涙を流しながら絶賛をしましたが、ミダス王はただひとりだけ「パーン神の笛の音色の方が、気分を明るくしてくれて素晴らしい」と評価をしたのです。

 アポロンは、「山の神々が私の勝利だと言っているのに、私の音楽を分からないお前の耳など、ロバの耳にしてやるわ」と激怒して、ミダス王の両耳をロバの耳に変えてしまったのです。

 それからというもの、ミダス王はロバの耳になってしまった自分の耳を恥ずかしく思い、頭巾で隠すようになり、散髪の度に町から床屋を城に呼んでは、口外を恐れて牢屋に閉じ込めていったのです。

 王様の耳がロバの耳になったのは、生まれつきではなく、ギリシャの神様の呪いだったのです。恐ろしいですね。

「王様の耳はロバの耳」のあらすじとは?

 むかし、とある国の王様の散髪をするために、町の床屋が呼ばれました。その王様の耳はロバのような耳をしていて、帽子をかぶりそのことを秘密にしていたのですが、散髪のときは帽子を取らなければなりません。そのため、床屋には王様の秘密を絶対に口外しないように、強く口止めをしていました。

 とんでもない王様の秘密を知ってしまった床屋ですが、周りの人間に喋りたくてウズウズしていました。そして、口止めされた苦しさから解放されるために森の中の穴に向かって「王様の耳はロバの耳~」と叫んでストレスを発散していました。すると、穴の中から成長した植物(葦)が、なぜか「王様の耳はロバの耳~」とささやくようになってしまうのです。

 しばらくすると、「王様の耳はロバの耳」といううわさが流れはじめます。それを知った王様は、そのうわさを流した者をとらえるように命令を出します。ところが、そのうわさの出所が森の中の葦(あし)であることを知った王様は、どうすることもできなくて、自分のロバの耳を隠すことなく生きるようになったのです。

「王様の耳はロバの耳」から学ぶ教訓とは?

口は災いの元であり思いもよらないところから噂は広まってしまうもの

 床屋は王様から口止めをされていたはずですが、誰も聞いていないと思った森の中の穴に向かって秘密を明かしてしまいます。それが原因で、噂は瞬く間に広まっていってしまったのです。植物である葦がささやいてしまうという普通では考えられないことですが、秘密を一度でも口にしてしまうことで、思わぬところから広まってしまう可能性があるのです。

人間の美徳は他人を許すことができる寛容さにある

 結果として王様の秘密を広めてしまった床屋ですが、王様はこのことで床屋を責め立てることはありませんでした。秘密を隠す必要がなくなった王様は、秘密を守るという重圧から解放され、気楽に生きられるようになったはずです。

勇気を持って正直に真実を明かすことで深い信頼を得る

 床屋の失態で王様の秘密が明るみに出てしまったわけですが、王様も国民に本当のことを打ち明けるきっかけとなったのです。真実を正直に話したことで、王様は以前よりも国民に信頼されるようになったのです。正直さがいい結果を生んだわけです。

秘密や悩みを抱え込むことは心身に悪い

 王様の秘密を抱えていた床屋は、とてつもなく大きなストレスと戦っていたわけです。自分だけが知っている秘密をため込んでいることは苦しみ以外の何ものでもありません。床屋は悩んでいたはずです。

 この物語には、床屋が秘密を抱え込んだことでお腹が膨れ上がってしまい、病気になってしまうというバリエーションもあります。ストレスは心にも身体にも悪い影響を与えてしまうのですね。

大人になった今、「王様の耳はロバの耳」をもう一度読み返してみる

 イソップ寓話の「王様の耳はロバの耳」。子供の頃に、誰もが一度は耳にしたことがある話だったと思います。大人になった今、この物語を読み返してみると、子供の頃には読み取れなかった教訓を感じ取れるようになっているものです。

 そして、この物語は「寓話」であるということです。寓話とは、「教訓を伝える物語のこと」です。紀元前にこの物語が成立していたという事実から、はるか昔から人々への教訓は共通していたと思うと面白いですね。

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