イソップ寓話「獅子(ライオン)の分け前」とは?
イソップ寓話と言えば、隠された意味は深いものですが、この「獅子(ライオン)の分け前」もそのひとつです。いつの時代も利益を独り占めするのは権力者たちであることを教えてくれる物語です。割を食うのは弱者ばかりという切ない一面も見られるわけです。
身近にある不運や災難というものは、時に残酷ではありますが、人に分別や知恵を授けてくれることもあるのです。
「獅子(ライオン)の分け前」のあらすじとは?
あるとき、ライオンとロバとキツネが3人で狩りに出掛けました。運がよく、たくさんの獲物が手に入ったので3人で分け合うことになりました。このとき、ロバが3人平等に分けたところ、ライオンがこの分け方に怒り狂い、ロバを食べてしまったのです。
今度はキツネが獲物を分けることになりました。キツネは獲物のほとんどをライオンのものとして、自分の分はわずかな分け前としたのです。これを見てライオンはとても満足し、キツネにこの分け方の理由を訊ねたのです。すると、キツネは「ロバの運命が私にこの分け方を教えてくれたのです」と答えました。
「獅子(ライオン)の分け前」から学ぶ教訓とは?
人の振り見て我が振り直せ
キツネにとっては身近な友人であったはずのロバがライオンに食べられてしまう姿を見て、いろいろと考えさせられたと思います。普通であれば、獲物を平等に分けたロバの行為に問題はありません。正しい行為だったはずです。
ただ、残念なことは、この世の中は正しいことが正解とは言えないのです。残酷ですが、ロバは不運だったのです。キツネは、「身近な人の不幸や災難が、知恵を与えてくれたこと」に感謝しなければなりません。他者の失敗を生かすチャンスがあって、それを生かしたわけなのです。
弱者は強者に逆らうな
強者は、時にルールを捻じ曲げることがあります。それに屈しない強い気持ちを持つことも大事ですが、長い物には巻かれる必要があるときもくるわけです。ありえない論法がまかり通ってしまうことはいいことではありませんが、命を落とす状況では、「忖度する」ことが正解なこともあることを理解した方が賢明です。
大人になった今、「獅子(ライオン)の分け前」をもう一度読み返してみる
イソップ寓話の「獅子(ライオン)の分け前」。子供の頃に、誰もが一度は耳にしたことがある話だったと思います。大人になった今、この物語を読み返してみると、子供の頃には読み取れなかった教訓を感じ取れるようになっているものです。
そして、この物語は「寓話」であるということです。寓話とは、「教訓を伝える物語のこと」です。紀元前にこの物語が成立していたという事実から、はるか昔から人々への教訓は共通していたと思うと面白いですね。