❝ 役者ならば、自分に対して常に挑戦。
❝ 健康な人も一度自分が、向こう側へ行くということを想像してみるといいと思うんですね。そうすると、つまんない欲だとか、金銭欲だとか、名誉欲だとか、いろんな欲がありますよね。そうしたものからね、離れていくんです。
❝ 「自由」っていうと格好が良すぎるけど、「責任がない、勝手」ていう感じかな。この作品の責任を取ろうと思うととても大変なんだけど、責任を取ろうと思わないから、すごく勝手なの。それが結果的に自由に見えるのかも。「予定調和にならない」というところは、私の生きてきた環境、出会いがそうしたのかな。
❝ 歳をとると人間が成熟するとは大間違い、不自由になった分だけ文句が出るの。
❝ (自身の離婚について語った言葉)籍を入れた以上、引き受けていくしかない。夫の中には今も、純粋なもののひとかけらがみえるから。
❝ (全身ガンに侵された後)この肉体も借り物だから。
❝ (夫婦について)きっと感謝する時が来ますよ、両方で。
❝ 飽きたでしょ、おなかすいたでしょ、って思っちゃう。私がくたびれちゃうのね。だから一人でやろうと思うの。それで、一人でできなくなったら、「これにてご無礼いたします」。そうだね、最後のセリフは「はい、みなさん、今世はこれにてご無礼いたします」。いいセリフだよね。
❝ どれだけ人間が生まれて、合わない環境であっても、そこで出会うものがすべて必然なんだと思って、受け取り方を変えていく。そうすると成熟していくような気がするのよね。それで死に向かっていくのだろうと思う。でも人間ってだらしないから、あんまりいい奥さん、あんまりいい旦那さん、いい子供で楽だと、成熟する暇がないっていうか。
❝ (自身の全身ガンに関して告白したことについての言葉)ガンになって死ぬのが一番幸せだと思います。畳の上で死ねるし、用意ができます。片付けしてその準備ができるのは最高だと思っています。内田に言われました。『全身ガンで明日にでも死ぬのかと思っていたら、やたら元気でいろいろなところに顔を出すので、あれはガンガン詐欺(笑)だと思われているよ』って。
❝ 生命は永遠のものだと思っています。現在、このように服を着た樹木希林は死ねばそれで終わりですが、生命というものはずっと続き、またいろいろなきっかけや縁があれば、次は山田太郎という人間として現れるかもしれない。
❝ 今は仕事のブッキングも全部、自分でやっています。そうじゃないと、人の人生までブッキングしちゃうからさ。がんを持病として持っているし。そういう身体であるということがすごく歯止めになっている。
❝ いちいち気にしてたらキリがない。
❝ 私の場合には、年を取ることに対して、一切ストップをかける気持ちがないんです。だから私は『老いる』ということに対して、恐怖もなければ、嫌だなあという罪悪感もない。
❝ (離婚を拒否したのは、それを上回る大きな愛かという質問への答え)愛というより、私には内田さんが必要だったということですね。ただ向うは迷惑だっただろうなというのはよく分かる。今は『どうもありがとうね。大変だったわね』と言うと、『そんなことネェー』と言いますがね(笑)。来世で出会わないために、今完璧に付き合っているのよ。